飲食業界でおもしろいM&Aがありました。
全国で「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(本社・愛知県一宮市)が、北海道旭川市の有名ジンギスカン店「成吉思汗(ジンギスカン) 大黒屋」を経営する大黒商事(旭川市)を、完全子会社化した。大黒屋店主が多店舗展開の夢を託したという。
人間はどうしても得意なこととそうでないことがあります。
例えば、数字には強いけれど周囲と同調することが苦手だったり。あるいは、協調性はあるものの決断力がなかったり。
もちろん、不得意なことは個性ですので尊重すべき大切な要素でもあります。
経営でも同様です。会社によって、得意なこととそうでないことがあります。
営業が強い会社もあれば、サポートが得意な会社もあります。
お互いが補填し合うことで、良い取引先になっていくものです。
さて、ジンギスカンの大黒屋は兼ねてから夢だった多店舗展開をココイチに託したとのこと。
おそらく、店主は1つのお店を丁寧に切り盛りすることに長けていたのでしょう。
しかし、「丁寧にやること」と「手広くやること」は、相反するものでもあります。
店主は葛藤されたと思います。
この思い切った決断は、M&A業界に勇気を与えたと思います。
なぜなら、自分の考えにこだわり過ぎて売却できずに苦しんでしまう方もいるからです。
例えば、サイトM&Aでこんな取引がありました。
Aさんは、ネットショップを運営していましたが、発送作業中にヒジを痛めてしまいます。
無理して継続していましたが、ついには腕が上がらないくらいの激痛になりました。
そこで、Aさんは「続けたい」という自分の考えを思い切って捨てます。売却するという決断をしたのです。
優良なネットショップだったのですぐに買い手は見つかりました。
もしも、自分の考えに固執していたら…。最悪の場合入院しまったり、ネットショップも自然消滅していた可能性があります。
お客さんにも迷惑をかけていたでしょう。
そうなる前に手放したことは正解だったと思います。
自分ができないことは誰かにやってもらう。
こういったマインドシフトだけで、人生が豊かになってくることもあります。
無理して継続せずに、誰かに託すことも選択肢の1つかもしれませんね。