M&Aとは?簡単にわかるように事例を使ってメリットや基礎知識を解説
最近、よく聞くM&Aという言葉。
「Mergers」and 「Acquisitions」の略称で、「合併と買収」という意味があります。
ざっくりと、会社の売り買いということは理解できているけど、本質的なところは理解できていない…。
そんな人も多いのではないでしょうか?
今回は、M&Aの本質に迫るために、具体的な例を使ってメリットや基礎知識をご提供したいと思います。
本記事は以下URLの記事を参考に執筆しています。
【参考記事】M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】
事例1:株式譲渡
M&Aと言えば、一般的にすぐイメージできるのが株式譲渡というものです。
文字通り、株を売り買いすること。会社の所有権を移動させることです。
会社の所有者が株式を売却する際、50%以上を買い手が保有すれば、会社の所有権利は買い手になります。
50%以上を企業が保有することになれば、買い手企業の子会社になります。
例えば、有名な事例として、芸能人とのスキャンダルで有名な前澤友作氏のケースがあります。
前澤氏は、ゾゾタウンというプラットホームを創業しましたが、2019年にヤフージャパンが50%を保有する形でゾゾタウンは子会社になりました。
前澤友作氏も保有していたうち30%を売却しています。
株式譲渡は、会社の所有権が移動するだけになるので、売り手と買い手のそれぞれのメリットは以下の通りです。
売り手のメリット
①会社そのものが継続される
②従業員の給料も確保できる
③株の売却にかかる税金が安い
特に経営に苦しんでいるタイミングでの売却は①と②のメリットは大きいものです。
また、会社の所有者そのものが高齢で引退せざるを得ない場合、やはり①と②があることで売却の意思決定に繋がるようです。
③に関しても見逃せません。
特に役員報酬などは、最高で55%の税金になることもあります。しかし、株の売却に関する個人の税金は20%ほど。
このメリットを活用して、連続起業家と名乗る人もいるくらいです。
買い手のメリット
①従業員、ノウハウ、顧客リスト、なども譲渡できる
②立ち上がっている会社をすぐに運営できる
③会社の価値が上がる
①と②は資金がある会社にとっては最高のメリットになります。
逆にベンチャーや中小企業のように、社長が軌道に乗せた会社を安全運転になった状態で買い取りたいと狙っている会社も多いです。
それだけ、0→1は難しくセンスが問われるところなのです。
③も上場している会社であれば、株価上昇に繋がることが多く、株主に積極的な経営をアピールできるチャンスになります。
事例2:事業譲渡
会社にある特定の事業だけど売買する方法です。
事例としては、わたみん家で有名なワタミ株式会社が以前運営していた「ワタミの介護」を売却したことがあります。
介護施設を運営していた「ワタミの介護」は、ワタミ株式会社の子会社となっていましたが、実質の事業譲渡です。
210億円で損保ジャパンに売却しています。
事業譲渡の売り手と買い手のメリットは以下の通りです。
売り手のメリット
①会社そのものは売却しない
②キャッシュが手に入る
③本業に集中できる
長期的に見て最も大きなメリットは③でしょう。
実は多角化しすぎて業績が悪化する企業もありますので、不要な事業だけを売るメリットは大きいです。
また、個人事業主や1人社長の場合も、サイト売買では今後運営しないサイトを売却されるケースが大変多いです。
【関連記事】サイト売買とは?3億円分以上を対面で仲介してわかった売却のコツ
買い手のメリット
①立ち上がっている事業をすぐに運営できる
②従業員、ノウハウ、顧客リスト、なども譲渡してもらえる可能性もある
③既存事業との親和性が期待できる
とくに③に関しては非常にメリットが大きいでしょう。
例えば、ITサービスの会社がプログラミング事業を買い取った場合、優秀なプログラマーもセットでついてくる可能性もあります。
そうなると、サービスがさらに強化されることになるので、本業の収益がアップします。
事例3:株式交換
現金ではなく、買い手が保有する有価証券と売り手の会社を交換することです。
M&Aは、買い手に資金がないと難しいイメージがあります。
が、株式交換は「社債」「新株予約権」「他社の株」など、現金以外を使って購入できます。
どうしてもほしいけど、手元に現金が不足している場合、こういった選択をすることがあります。
トヨタ自動車とダイハツ工業、パナソニックと三洋電機など、有名企業が行なっています。
ちなみに、現金を使わないLBO(レバレッジド・バイアウト)という方法もあります。
これは、買い手が売り手に借金をするようなかたちで買収することです。
つまり、「未来の売上から買収資金をつくるので、今は安くしてください。不足分は後払いします」、ということです。
例えば、ソフトバンクがボーダフォンを買ったときは現金がなかったので、「将来の売上から返済していきます」ということで、格安で手に入れました。
株式交換の売り手と買い手のメリットは以下の通りです。
売り手のメリット
①現金以上に価値が上がる可能性がある有価証券が手に入る
②現金を持っていない会社にも売れるので可能性が広くなる
③売却益を散財しにくい
売却視点でみると②は大きなメリットでしょう。
現金がないので引き下がってしまう買い手が多くいますが、こういった株式交換という方法を知っていれば、売却スピードは格段にアップします。
また、①も保有していれば将来に価値が何倍にもなるケースもありますので、現金で支払いを受けるよりメリットになる可能性があります。
買い手のメリット
①現金がなくても会社を買える
②すぐに買える
③売り手が経営に参画してくれる可能性がある
最大のメリットは①でしょう。
現金がなければM&A市場に参画できなかった会社であっても、株式交換であれば可能になります。
また、現金をすぐに用意する必要がないので、適切なタイミングですぐに購入できる②も貴重なメリットです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
M&Aについて事例を交えながら基礎的な知識をご紹介しました。
事例1:株式譲渡(ZOZOの前澤氏のケース)
事例2:事業譲渡(わたみの介護のケース)
事例3:株式交換(トヨタ自動車とダイハツ工業)
本記事がM&Aの理解につながっていれば幸いです。
ご覧いただきましてありがとうございました。