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MBO(Management Buy-Out)とは?類似手法との違いや流れについて解説

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サイト売買やM&Aについて調査を開始すると、事業承継には多くの種類があることがお分かりになると思います。

中でも先日紹介したEBOやMBOなど、なかなか馴染みのないフレーズを目にする機会も多いのではないでしょうか。

ここでは、事業承継手法の一つであるMBOについてご紹介します。

主に大企業や上場企業にて実施されるM&A手法ではありますが、豆知識として知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

事業承継ってどんなものがあるのか知りたい方は下記記事を。

【関連記事】事業承継とは?成功させるポイントと流れについて解説

EBOについて詳しく知りたいという方は下記記事をご参照いただけるとより深くご理解いただけると思います。

【関連記事】後継者不足で増加中のEBO。メリット・デメリットと成功のポイント

MBOとは?

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そもそもMBO(Management Buy-Out)とは、経営陣が自社の株式を買い付け、事業を買収する手法のことを指します。

そのままMBOというフレーズが使われることもありますし、「経営陣買収」と呼称されることも少なくありません。

当然のことながら、MBOにてM&Aが成立する場合、中小企業でも上場企業でも似たような手順を踏む形にはなりますが、目的や性格は異なることもあります。

中小企業では、単純に事業承継として現経営陣や役員に会社を引き継ぐというケースが多いです。

一方で、多角的な展開をしている大企業やグループ企業を多く持つ上場企業などでは、経営体制のスリム化を図るという目的の場合もあります。

次項よりもう少し詳しくご説明します。

MBOの主な目的

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なぜMBOを行うのかという目的については、下記のような点が考えられます。

①経営権の自社役員への引き継ぎ

上記でも軽く触れた通り、現経営者の息子や娘などに後継者がおらず、親族内承継を期待できない場合にMBOにて承継させるケースがあります。

こちらは中小企業などに多く見られるMBOです。

現在日本では少子高齢化が進んでおり、単純に若い働き手の数が減っていることに加え、価値観も多様化してきています。

従来のように「家業を継ぐ」ということに抵抗を感じ、親族内でも承継の意思がマッチしないことも珍しくありません。

そんな場合、自社の従業員が買収するEBOと合わせ、経営陣が買収するMBOにて承継を行うことが有力な選択肢となり得ます。

②自社株式の非公開化

上場企業においては、株式を公開することで、知名度の向上や資金調達の円滑化などのメリットを得ることができます。

一方で、IR(Investor Relations:株主に対する広報活動)など事務的なコストや手間が多くかかるというデメリットもあります。

また、近年ではコンプライアンス違反に対する風当たりもますます強まっており、上場している以上は法令に対して人一倍ケアが必要です。

そんなデメリットを解消するために、MBOを実施して上場を廃止するというケースもあります。

③経営陣の裁量の拡大による意思決定のスピードアップ

株式を公開している大手企業などでは、数多くの株主が存在しており、さまざまな意思や意見を経営方針に反映させる必要があります。

上記の通り資金調達という観点では非常に有利ではあるものの、経営陣による決議に加え、株主総会での意思決定というプロセスが必要不可欠です。

短期的に株を売買するだけといった株主も当然存在しており、なかなか長期的な計画が立てにくいという側面も考えられるでしょう。

そういった状況においては、スピード感のある意思決定を行いやすくするという目的で、経営陣が株式を保有することもあります。

MBOと類似の手法の違い

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ご説明してきた通り、MBOは事業承継・M&Aの手法の一つです。

似たような流れで行うM&Aもいくつかあり、簡単に下記にその違いを解説します。

TOB

TOBとは「Take Over Bid」の頭文字をとった略称で、日本語に訳すると「株式公開買い付け」となります。

対象となる会社の株式を買い取って経営権を得るという点ではMBOと共通ですが、TOBの場合買収対象は他社です。

つまり、TOBを行う際の目的としては、他社を自社グループの傘下に入れるということになります。

株式を公開している企業がMBOを行う場合TOBの手続きを踏む必要がありますが、非公開企業の場合はTOBの手続きは必要ありません。

こちらのTOBに関して、もっと詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください

【関連記事】TOB(Take-Over Bid)とは?MBOとの違いとメリット・デメリット

MBI

MBIとは「Management Buy-In」の略称で、MBOの「Management Buy-Out」と並んでよく語られるフレーズの一つです。

MBOでは自社の役員などが買収の主体となり、そのまま買収企業の経営を引き継いで運営する形になります。

一方、MBIとは、投資家やファンドなどが主体となって企業の買収を行い、その買収企業に外部から経営者を送り込む形になります。

MBIの目的は、経営が傾いている企業の再建や、送り込まれた経営者のノウハウを活かして増収・増益を狙うといったことなどが一般的です。

EBO

役員が主体となって買収するMBOと異なり、EBO(Employee Buy-Out)はその名の通り、自社の従業員・スタッフが買収主体となります。

後継者不足に悩む企業や、若返りを図る中小企業などでよく用いられる手法です。

経営方針や当面の計画などが引き継げる点に関しては、MBOとEBOに共通したメリットになります。

【関連記事】後継者不足で増加中のEBO。メリット・デメリットと成功のポイント

MEBO

MEBOは「Management and Employee Buyout」の略称で、MBOとEBOが混合した形です。

つまり、対象会社の経営陣と従業員が一体となって資金を出資し、買収を行うといったケースがMEBOに該当します。

経営方針の踏襲などを前提としている点は、MBOやEBOと変わりありません。

MEBOに関係した従業員は経営に強く関わることになるため、意欲・モチベーション向上が期待できる手法だと言われています。

MBOのメリットデメリット

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MBOにてM&Aを行う上で考えられるメリットは下記のような点が挙げられます。

・経営権を独占できることで、迅速な意思決定が可能になり長期的な方針が立てやすくなる。
・情報流出を抑え、スムーズな事業承継が可能となる。
・上場を廃止することで、買収リスク抑制・コストカットなどを期待できる。

MBOにおける最も大きなメリットとしては、経営陣が実質的な経営権を掌握できる点にあります。

さまざまな立場や考えを持つ株主に対する配慮が不要となり、重要な決議や設備投資などにおいてもスピード感を持って実行することが可能です。

また、外部の株主がいる場合、株主総会を行う際にある程度情報が晒されることになりますが、そういったリスクも排除することができます。

IRに伴うコスト削減も、スマートな経営に寄与することが期待できるでしょう。

後継者不足に悩む企業においても、自社の役員が引き継ぐため、比較的スムーズに承継することが可能です。

一方で、MBOにおいては下記のようなリスクも考えられます。

・経営権が集中してしまうことで、経営方針が偏る可能性がある。
・資金調達の手段が乏しくなる
・金融機関やファンドからの借入金が増加する。

経営権が一点に集中することで、正しく公平に経営がなされれば多くのメリットが存在します。

ですが、もしその経営陣に誤りや偏りなどがあった場合、よくない方向にスピード感を持って進んでしまうというリスクも孕んでいます。

また、株式を公開して資金を調達していた企業であれば、当然ながらその資金調達の手段は活用できなくなる点も大きなリスクです。

加えて、EBOやMEBOにおいても同様のことが言えますが、一般的に役員は個人で買収できるだけの資産を有していることは非常に稀なケースでしょう。

その際、金融機関やファンドからの資金調達がそのまま借入金となり、こちらを返済する必要があります。

財務状況に一定の注意を払いながらMBOを進めることが重要です。

MBOの流れ

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実際にMBOを行う際は、下記のような手順で進めます。

1.事業を検討し、事業・資金計画を策定する

まずは事業の資金繰りや市場の動向なども踏まえた企業価値を評価し、MBOが成功するかどうかを判断します。

こちらに関して、自社内で完結するのは非常に難しいため、弁護士やM&Aコンサルなどに依頼しつつ進めることが一般的です。

買収主体となる役員が買収資金を準備できない場合、SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)を立ち上げ、新しく設立したSPCで資金調達することもあります。

2.株主・従業員・金融機関など関係者への交渉と調整

続いて、MBOに関わるステークホルダーとの交渉フェーズとなります。

企業の状況に応じて、株式の買取り金額も上下するため、株主との交渉は非常に重要な局面となるでしょう。

資金調達先は、投資ファンドやベンチャー・キャピタル、日本政策金融公庫等の金融機関がが対象となることが多いです。

3.MBO対象企業が株式売却し、事業を譲渡する

企業価値や株式買取り価格等の評価額が確定し、契約内容もまとまった段階でMBOが正式に成立となります。

SPCを立ち上げていた場合は、この段階で金融機関等から融資を受け、MBO対象企業株主から、SPCへ株式を売却してもらいます。

全ての株式がSPCへと譲渡されると、MBOの対象企業をまず子会社化し、合併する形でMBO手続きが完了となります。

これをもって会社の株式が全て自社の経営陣に渡り、経営権も譲渡されるということです。

MBO成功のポイント

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MBOが無事に成功すると、経営体制がスマートになり、長期的な事業計画の策定や意思決定の速度向上など大きなメリットが得られます。

ですが、デメリットの欄でも述べた通り、経営の監視機能が低下してしまうことや、資金調達の手段を失ってしまうといった大きなリスクも伴います。

そのため、まずは承継する前の段階でどれだけ事業の採算性を高め、経営体質を強くしておくことができるかが大きなポイントとなってくるでしょう。

MBOと外部からの資金調達は切っても切れない関係にあるため、キャッシュフローに注意を払うことは言うまでもありません。

M&Aコンサルタントなどのプロフェッショナルに頼り、しっかりとアドバイスを聞きながら進めることが重要になります。

まとめ

株主を多く抱える企業や上場企業などでよく取られるM&A手法であるMBOについて解説しました。

当社のサイトをご覧いただいている方には馴染みが少ない分野とも言えるかもしれません。

しかし、事業承継する上で、現在のビジネスを強靭にしてくおことが重要である点においては、サイトM&Aとも似た部分がありそうですね。

他の誰かに事業を引き継ぐという行為の上で、何かの参考になりましたら幸いです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

エベレディア株式会社 代表取締役会長 中島優太

日本唯一の「サイトM&Aアドバイザー®」
エベレディア株式会社 代表取締役会長

中島優太

著書に「超入門! サイトM&A1年目の教科書 -売却編-」。サイトM&A業界の不親切に疑問を持ち、2016年5月に親切丁寧に売買仲介する「サイトマ」を創業。取引累計額10億円以上、300件以上を直接対面で仲介(2021年12月時点)。NHKクローズアップ現代プラスに専門家としてコメント。2019年アメリカはシリコンバレーにて講演。新聞、ラジオ、ビジネス雑誌に多数掲載。

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