サイト売買詐欺とは?注意点と防衛策を解説
この数年において、サイト売買やサイトM&Aというフレーズは随分と市民権を得てきたように思います。
おかげさまで当社で取り扱う案件も増加してきており、様々なサイトやECサイトアカウントが取引されています。
サイトを運営している方にとっても、これからサイト運営を開始しようとしている方にとっても、サイト売買は有力な選択肢の一つとなりつつあるようです。
一方で、サイト売買の市場はまだまだ発展途上な側面もあり、残念ながら詐欺などのトラブルも数は僅かながらゼロではないのも事実です。
ここでは、サイト売買の詐欺とその防衛策について徹底的に解説したいと思います。
参考になりましたら幸いです。
目次
サイト売買で発生する詐欺とは?
まずは、サイト売買における詐欺とはどのようなものがあるのかについて紹介します。
あなたがこれからサイト売買を始める場合、全てを疑って欲しいというものではありませんが、まずは警戒して進めることに越したことはありません。
予備知識として持っておくといいでしょう。
なお予め断っておきますが、私たちプロの仲介業者は売主・買主共に、予め怪しい人は排除しています。
よって、本記事に記載しているようなリスクはなく、安心して取引していただけます。
詐欺が起こりやすいのは、掲示板で知り合った方との取引など、個人で直接交渉される場合ですので、その場合は十分に注意しておきましょう。
サイト売買詐欺① 持ち逃げ詐欺【売主・買主】
サイト売買詐欺の中でも最も代表的なものが、いわゆる持ち逃げ詐欺です。
これはあらゆる売買取引でも起こりうるリスクなので、最もイメージしやすいものかもしれません。
サイト売買における持ち逃げ詐欺は、売主・買主どちらも被害にあう可能性があります。
それぞれより詳しい例を上げると、
・売主:サイトを買いたいという人にサイトを譲渡したが、譲渡金額が入金されず、連絡がつかなくなった。
・買主:サイトを売りたいという人に譲渡金額を渡したが、サイト譲渡の手続きが開始されないまま、音信不通になった。
というケースが持ち逃げ詐欺にあたります。
上記の例は約束していた事項が全部分履行されなかったケースですが、下記のようなものも考えられます。
・売主:複数回分割で譲渡金額が入金される予定が、最初の一回しか入金がなかった。
・買主:商品在庫も譲渡されるはずが、サイトコンテンツのみの譲渡しかなかった。
持ち逃げ詐欺に対する防衛策
言わずもがな、このような詐欺にあってしまえば金銭的な損失は計り知れません。
またここでは詳しくは記載しませんが、詐欺の立件は比較的難しいです。
警察や弁護士に泣きついてもなかなか解決に進まないのも事実です。
ですので、詐欺やトラブルが起きないように予めそれぞれが手を打っておかなければいけません。
それではどのようにしておけば、持ち逃げ詐欺のリスクを避けられるでしょうか?
まず大前提として、売買取引契約書作成段階でのプロの法律家への依頼は必ずやっておきましょう。
【参考記事】サイト売買で弁護士に契約書作成を依頼するべき3つの理由
さらにエスクローサービスを利用するのも持ち逃げ詐欺リスクを抑える効果的な手段の一つです。
エスクローサービスとは?
簡単に言い換えると仲介業者(第三者)による決済代行サービスです。
上記の例のケースで言えば、仲介業者が買主から譲渡金額を一時的に預かり、サイトの譲渡が確認された段階でお金が売主に渡ります。
エスクローサービスをご自身で探すのもいいですし、当社でもエスクロー作業代行を提供しています。
お読みいただければお分かりかと思いますが、「個人間だけで取引を完結させない」という考え方が重要です。
信頼できるサイト売買のプロに決済を任せる、法律のプロに契約書を任せる、というスタンスを大切にしておいてください。
サイト売却の詐欺で気を付けるポイント
続いてサイトを売却する売主の立場となる皆様に、気をつけてほしいポイントを紹介します。
「売主はお金をもらう側なので比較的安心」と考えている方もいるかもしれません。
ですが頑張って育てたサイトが奪われるリスクがあるだけでなく、下記の通り様々なリスクが存在します。
サイト売買詐欺② 情報収集詐欺【売主】
サイト売買取引契約は、どんな形で進めるにしても、いつかは買主に対してサイトの内部情報をある程度開示しなければいけません。
そしてサイト売買における情報収集詐欺は、このサイトの重要情報や売主のノウハウ・個人情報などを盗まれるという詐欺です。
そのサイトがどのくらいアクセスを集めているか、どのくらい売上を上げているかは一般的に外からは分からないですよね。
さらに「そのサイトがどのように広告運用されていたか」という情報が付随していた場合のことを想像してみてください。
悪質な業者が悪意を持って売主に近付いてきた場合、この情報は非常に危険なものになることがお分かりいただけるはずです。
その情報をサイト運営ノウハウとして活用、あるいは販売されてしまえば、同じ手法を多くの人に真似されてしまうかもしれません。
結果的に、あなたのサイトの価値が大きく下落し、従来のような収益を上げられなくなるかもしれません。
つい自分のこととなると軽く見てしまいがちですが、サイトに関わる情報は非常に貴重なものです。
数値データが盗まれないか、どのような運営手法を取っているのかなど、情報の取り扱いは改めて気をつけておきましょう。
情報収集詐欺に対する防衛策
このような情報収集詐欺に対しての防衛策は、売買取引を進める相手を慎重に見極めることに尽きます。
全く運営情報開示を行わないまま、サイト売買取引を完了させることは現実的ではないからです。
買収のオファーをしてきた人がどれだけ魅力的な内容を提示しても、まずはとにかく一度落ち着いて考え直してください。
慌てさせて冷静な判断力を奪おうとするのは、詐欺師や悪質な業者の常套手段です。
ちなみに当社では、売主・買主間でWEB面談前に秘密保持契約を締結していただいています。
こちらも情報収集詐欺に対しての有効な防衛策となります。
このように、売買取引契約とは別に「サイト情報を守るための秘密保持契約を締結」しておくいいでしょう。
予め秘密保持契約を締結しておけば、もし万が一売買契約が破綻になってしまっても、あなたのサイト情報が漏れるリスクは抑えられます。
どのような場合においても、とにかく慌てて契約を進めることなく、買主とコミュニケーションを密に取りながら確実に歩みを進めていってください。
逆に契約書締結を渋られたり、相手が怒り出したりした場合は、相手を選び直す契機とも言えるかもしれません。
サイト売買詐欺③ 転売業者からの勧誘【売主】
以前、下記の記事でもまとめたことがありますが、ある日突然サイト運営者に対し、「サイトを買いたい」とオファーされるケースがあるようです。
【関連記事】「あなたのサイト売りませんか?」突然の依頼で詐欺を避ける3つの方法
この件の概要としては、サイト運営をされている方に、ある仲介会社を名乗る方から「あなたのサイトを2,000万円で売却しませんか?」と連絡がありました。
その仲介会社をネットで検索してもあまり情報が出てこず、当社にお問合せをいただいたという経緯です。
結果的にこのサイト運営者さんは、未然に当社に相談いただいたことで、サイトとサイト運営情報を守ることができました。
ですが、残念ながらこのような悪質な転売業者に目をつけられるリスクは、どんなサイトでも起こり得ることでしょう。
たくさん売上を上げる魅力的なサイトであればあるほど狙われやすいので、よくよく注意しておくといいでしょう。
転売業者詐欺に対する防衛策
このような転売業者および、怪しい人物から連絡が来た場合、まずは当社のようなプロの仲介会社にご相談ください。
私たちはサイトM&Aに関する同業者様の動きは比較的情報を得ています。
その業者が当社が知っている安心できる方であれば、そのようにお伝えします。
ですが、一般的にネットで調べても出てこないようなところであれば、相手にしない方が無難だと思います。
それでもしつこく連絡が来るようであれば、色々な質問を投げかけてみましょう。
悪質な業者であった場合、契約書作成やドメイン・サーバー移管などの手続きについての知識はほぼないと思われます。
上記の質問は、サイトM&A業者のプロであればスムーズに回答できるはずです。
おかしな回答が返ってきたり、その時点で連絡が途絶えたりすると、その段階で無視してしまっていいでしょう。
サイト買収の詐欺で気を付けるポイント
サイト売却をされる方が注意するべきポイント上に述べた通りです。
続きましてお金を払う側、つまりサイト買収者が気を付ける点についてご紹介します。
サイト買収者の中には、当然のことながらこれから初めてサイト運営をするという方もたくさんいらっしゃいます。
ですので、サイト運営に関する情報や知識が十分持っていないケースも多く、より一層の注意が必要であることを知っておいてください。
決して脅しているわけではありませんが、サイトの買収は多額のお金が動くものです。
魅力的なサイトを見つけると早く買収したいと焦る気持ちも分かりますが、慌てて進めていいことは一つもありません。
下記の事例について、頭の片隅に置いておいてください。
サイト売買詐欺④ 数値情報が虚偽のものだった【買主】
当社のような仲介業者であれば、売主からのサイト運営情報や数値データは、しっかりとエビデンスの表明を得た上で情報を掲載します。
裏を返せば、エビデンスが取れないような過去の履歴や情報は一切の意味を持っていないということになります。
ですが、サイト売買掲示板や直接交渉でサイト売買を進める場合には、基本的には売主からの情報提供が全てです。
そのデータが真実がどうかの見極めをする第三者が存在しないため、虚偽情報である可能性も捨てきれません。
売主側が虚偽である、と認識している場合はもちろん、ケアレスミスで誤った情報を掲載してしまっていた、ということもあるでしょう。
虚偽の情報開示に対する防衛策
虚偽の情報開示に対する防衛策としては、サイト売買取引の基本である「自分でサイト移管完了確認を取ってからお金を払う」ということを忘れないことです。
一般的にサイト売買はドメインやコンテンツが移管されたのを確認してから、買収金額を売主に入金します。
その流れさえ守っていれば、少なくとも売上やPV数などの数値データは移管作業中に確認することができます。
そこで虚偽に気が付いて指摘すれば、売買取引は破談になるかもしれませんが、買収資金を失うことはありません。
ですが、個人間で口約束だけで進めてしまっている場合、「先に一部でもいいのでお金を払って欲しい」と依頼されてしまうケースも起こり得ます。
サイト売買の知識がない方であれば、ついうっかり「そういうものなのかな」という風に、その話に乗ってしまうこともあるかもしれません。
売主側が悪意を持って虚偽情報を開示していた場合、このお金は簡単に取り返せない可能性が高いです。
「虚偽であるかもしれない」ということを知っておけば、慌てて入金してしまうリスクに対応できるはずです。
サイト売買詐欺⑤ ブラックハットサイトだった【買主】
サイトに関わる運営情報は様々な種類があり、売上・収益・PV数などの数値情報だけではありません。
そのサイトがブラックハットSEOでアクセスを集め、売上を上げているサイトである可能性があります。
ブラックハットとは、簡単に言うと不正な手段によって検索順位を向上させる手法のことです。
過剰なほどの大量の被リンクを設置したり、コピペしたコンテンツを作成したりしてSEOを行うサイトがブラックハットに当たります。
Googleアップデートにより近年はかなり少なくなってきていますが、今後も抜け穴を突くような手法を用いたサイトがあるかもしれません。
不正な手法でアクセスを集めるサイトは、その時点では成果が出ていても、ペナルティを受けるリスクを孕んでいます。
買収後に突然売上がゼロになってしまったということもあり得ますので、こちらも警戒が必要です。
サイトがブラックハットだったことに対する防衛策
買収を検討しているサイトが、どのようにコンテンツ作成されてきたかを全て確認することは現実的ではありません。
ですが、無料のコピペチェックツールや、被リンクチェックツールなどはいくつも存在します。
いくつかの記事を無作為に選んでコピペチェックツールで検証する程度であれば、すぐに対応可能です。
明らかに不自然な記事が多い場合はもちろんですが、特に違和感がなくても念の為確認はしておくべきでしょう。
また、売主にコンテンツを作成する上でのこだわりや考え方を質問してみてもいいかもしれません。
〇〇というユーザー層を狙っていた、〜〜の経験を持つ外注ライターに依頼していた、などの明確な回答が得られれば、安心していいと思います。
逆に、回答を濁されたり、人に任せっきりにしていたなどの回答であれば、警戒度を高めていくべきです。
サイト売買で詐欺のリスクを下げるには
具体的な事例をいくつか挙げつつ、サイト売買詐欺のリスクについて解説してきました。
長々と記載してきましたが、サイト売買詐欺にあわないために重要な考え方をまとめると、下記の4点に集約されます。
1.信頼できる仲介業者に依頼する
ここまでお読みいただいた方であればお分かりの通り、サイト売買詐欺は個人間で完了しようとする際に起こりやすいものです。
信頼できるサイト売買仲介業者を利用して取引を進めれば、ほぼ100%悪意のある人とは出会わずに済みます。
仲介業者は、「売却したい」とご連絡いただいたサイトは全て一通り確認し、虚偽の情報でないことを確認します。
またサイトを購入したいという方とも連絡をとり、問題なさそうだと判断できた方のみ、面談などのフェーズにご案内します。
つまり、「相手がどこで何をしている方なのかよくわからない」ということがないため、トラブルも少ないということです。
「初めてサイト売買する」、「知識がないから不安」そんな方こそ、仲介業者を利用するべきでしょう。
2.売買取引契約書、秘密保持契約書を締結する
プロの仲介業者であれば徹底されていることですが、各契約書をきちんと締結することは本当に重要です。
契約書の雛形自体は、ネット検索をかけていただければいくらでも出てきます。
ですが、サイト売買の契約はサイト売買特有の事項を定めておかねばなりません。
こちらもプロの仲介業者、あるいはプロの法律家立会のもとで進めないと、内容的には不十分です。
下記の通り様々なコラムでお伝えしていますが、そのくらい重要なことなので、ぜひご一読ください。
【関連記事】サイト売買の契約書は無料ダウンロードできる雛形でやってはいけない
3.検収期間を設定する
ある程度証拠が揃っていても、詐欺の立件は難しいものです。
よって、詐欺が起きてしまった、つまりお金を払ってしまった、サイトを譲渡してしまってからでは、取れる対応は非常に限られます。
たとえ無事にお金やサイトが手元に返ってきたとしても、かなりの時間と労力を要してしまうことになります。
そのため、まずはお金やサイトが相手方に渡る前に、チェックするための期間が必要です。
【関連記事】検収とは?サイト売買に欠かせない最後の確認作業です
エスクローサービスを利用し、検収期間を設定しておきましょう。
そうすることで、後になってお互いの見解が異なっていたことが明らかになっても、まだ致命傷にはならずに済みます。
いくら急かされても、慌てず慎重に取引を進めていってください。
4.詐欺防衛策を必ず実践する
それでもどうしても個人間でサイト売買をしたい、という方は、前項までで述べたそれぞれの防衛策を徹底してください。
色々と細かい話もしましたが、繰り返し伝えている通り、大切な考え方は一つです。
それは、慌てず舞い上がらず、冷静に交渉と確認を進めることです。
買主であれば、どんなサイトにどれくらいのお金を払いたいのか、予め決めておきましょう。
売主であれば、どんな人にどれくらいのお金で売りたいのか、明確にしておいてください。
これらを念頭においておくだけで、やりとりしているうちに流されてしまう確率はぐっと抑えられるはずです。
さらに、基本的なポイントですが、電話番号を聞いて会話してみるのも先方がどんな人か判断するための有効な手段です。
オンライン面談などを打診してみて、応じてもらえるかどうか確認しましょう。
まとめ:個人間でサイト売買を進める場合は、詐欺リスクに対応が必要
サイト売買詐欺の種類とその対応策について解説してきました。
当然のことですが、サイト売買をしたいと考える方のほとんどは善良な方で、詐欺師や悪質な業者などばかりではありません。
ですが、サイト売買は特有の取引手順と確認を経ないと、トラブルが起きやすいものです。
また、多額のお金が動くのは事実ですので、詐欺師や悪質な業者を根絶することは難しいと思います。
せっかくのサイト売買という素晴らしい経験が詐欺によってめちゃくちゃにされないよう、警戒するべきポイントはしっかりと警戒しましょう。
あなたのサイト売買の参考になりましたら幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。