越境ECとは?拡大する市場規模とメリット・デメリットについて解説
EC事業を開始したい、また既に取り組んでいる方であれば、一度は越境ECという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
海外に販売するというイメージから、なんとなく難しそうだと考えている人も多いかもしれません。
ここでは、越境ECとはどんなものなんか、どんなメリット・デメリットがあるのかについて解説します。
越境ECを開始する際の注意点についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
越境ECとは?
越境ECとはその名の通り国境を越えて国際的に展開するECビジネスの事です。
国内にいながら国境を越えた先にいるユーザーと取引を行うことができるため、世界中に対して自社の商品を発信可能です。
厳密には海外から輸入した商品を販売することも越境ECと呼べなくもないですが、一般的には越境EC=海外への輸出EC事業のことを指します。
詳しくは後述しますが、近年越境ECの市場は拡大を続けており、今後もより一層成長が持続する可能性が高いと考えられています。
国内でEC事業を行っている方も、これからECを開始したいと考えている方も、一度は検討するべき魅力的な事業といえるでしょう。
越境ECのメリット、デメリット
続いて、越境ECのメリットとデメリットについてまとめてみたいと思います。
越境ECのメリット
まず、越境ECのメリットとしては、下記の3ポイントが挙げられます。
・圧倒的なボリュームのユーザーに対して商品を販売できるチャンスがある。
・メイドインジャパン、日本の信頼性というブランドの強みをフル活用することができる。
・コストと手間を抑えて海外に進出することができる。
越境ECの最大の魅力としては、やはりその圧倒的な市場規模にあるでしょう。
日本では少子高齢化や人口減少というフレーズが問題視されている一方で、海外全体では人口は増加しており、2050年には97億人にも達するのではないかと考えられています。
実際にECショップを利用するかどうかはさておき、日本国内の現在の人口が1億2300万人程度であることから考えると、いかに大きな市場であるかはイメージできるでしょう。
国内市場では頭打ちになりつつある業種や商材でも、海外では大きな評価を受ける可能性も十分に考えられます。
加えて、やはり日本で製造された商品や日本で保管・流通する商品というものは、未だ強いブランド力を持っています。
訪日外国人の方がドラックストアなどでいわゆる爆買いをしていったり、アニメや漫画といったサブカルチャーが大人気であったりという点を見ると、一定の人気は確実にあると言えます。
また、ECビジネスであれば、海外に進出する事業の中では最も手軽に安価にトライすることができます。
工夫次第では、テスト感覚で海外進出のスモールスタートをすることが可能という点も、大きな魅力の一つです。
越境ECのデメリット
対して、越境ECが持つデメリットとしては、下記の点が挙げられます。
・言語対応が必要なため、一定の語学力が必要になる。
・輸出する国の精査や、各国の規制に対応する必要がある。
・配送に多くのコストがかかり、トラブルも起きやすい傾向にある。
まず当然のことですが、日本国外へ販売する場合、商品説明や問い合わせ対応などは各輸出国に合わせた対応が必須となります。
現在は無料で使用できる様々な翻訳ツールも増えてきており、また一般的には英語圏以外でも英語でやりとりをすることも可能です。
そのため、完璧な語学力をマスターしなければならないということはありませんが、多少の知識はあったほうがいいでしょう。
言語だけでなく、国が変われば決済方法も含めて様々なルールも変わってくるということも忘れてはなりません。
関税や輸出規制対象の製品などの情報収集は継続的に行っていく必要があります。
また、国を超えて輸出する場合、輸送のコストとトラブルリスクというのは確実に上がってしまいます。
高額な商品を販売する場合は手厚く保険に加入しておくなど、輸送・配送に関するコストは国内ECと比べるとどうしても高くなってしまうでしょう。
語学力が乏しい方は、クレームが発生してしまうと一層大きなトラブルにつながってしまうため、配送に関する備えは万全に整えておくことが必要になります。
越境ECの市場規模
越境ECの大きなメリットとして、圧倒的な市場規模を有することは上で述べた通りです。
単純に人口だけの比較をしてみても、日本国内よりも大幅に多くなるので、ある意味で当然とも言えるかもしれません。
全体的な視点で見ても、ここ数年の越境ECの市場規模は右肩上がりで伸長しており、また今後も成長が続いていくと予想されています。
下記のグラフは、日本政策金融公庫が2022年にまとめた「各国における越境ECの状況」という資料の中で紹介されているものです。
2020年は4兆USドル(日本円で約600兆円)である点で既にかなりの市場規模ですが、2026年にはほぼ倍増となる8兆USドル(約1,200兆円)となる見込みです。
インドネシアなどをはじめとする東南アジア諸国は、まだまだこれから普及が進む段階と考えられています。
市場拡大はほぼ確実といえるのではないでしょうか。
越境ECが拡大する背景
なぜここまで越境ECが拡大し、さらに今後も成長していくのでしょうか?
様々な理由が考えられます。
中でも大きいポイントとしては、やはりスマートフォンやタブレットといったデバイスが爆発的なスピードで普及したことではないでしょうか。
それらの端末からSNSやYouTube、Amazon・eBayといった各種ECモールに触れる機会が増えたことで、多くの人が気軽にたくさんの情報を得られるようになりました。
それにより、自国では購入できない商品が買えたり、自国で買うよりも安く欲しいものが入手できたりという機会も増えたはずです。
クレジットカードや電子マネーのほか、paypalなどの第三者支払い決済サービスも注目され、ソフト面でもますます整備されつつあります。
「ECといえば越境ECだ」と考えられる日も、そう遠くはないのかもしれません。
越境ECを始める手順とは
越境ECモールを始める上での選択肢としては、国内ECと同じく大きく分けて下記の2パターンが存在します。
・自社でECサイトを構築する方法
・海外の販売に対応したECモールに出店する方法
自社でECサイトを構築する場合、自由なカスタマイズが可能なため自社のブランドを全面に押し出して販売していくことができます。
しっかりと認知が拡大していけば価格競争にも巻き込まれるリスクもなく、安定して大きな収益を拡大できるでしょう。
一方で、物流の手配や後述するような認証・販売許可など全て自社でアレンジしていかなければなりません。
様々な面でトラブルが起きやすい越境ECのスタートとしては、リスクが高い手法といえます。
よって、まずはゼロからスタートする場合は、何かしらのECモールの活用をおすすめします。
なかでもお勧めなのは、2つです。
・Amazon
日本国内においても一大勢力となっているAmazonですが、本国の北米でもかなりの人気を誇っています。
Amazonは各国でローカライズされており、普段私たちが利用しているのはAmazonJapanですが、AmazonUSなどで販売をすることが可能です。
参考リンク:あなたの商品を世界のAmazonで
FBA倉庫をはじめ、Amazonという非常に便利で洗練されたプラットフォームをそのまま活用することができるという大きな魅力があります。
また、トラブルがあった際のサポートも日本語に対応しているため、安心して運営していくことができます。
・eBay
日本国内ではそれほど大きな広がりを見せていませんが、eBayはかなりの規模を持つ世界的なECプラットフォームです。
Amazonと同じく北米での利用者が多いのはもちろん、イギリスやEU、オーストラリアなどでもスムーズに販売していくことができます。
参考リンク:eBayアカウントを作成
eBayはオークションサイトとして利用されることも多く、商品によってはオークション形式で販売することもできます。
こちらも決済方法やトラブル対応など、環境が整備されているため、初心者でもスムーズに運営を開始できます。
越境ECを始める際の注意点
越境ECでは、国内ECと比較すると大きな市場があり、良くも悪くもダイナミックなビジネスといえるでしょう。
軌道に乗り始めると大きな収益を獲得できるポテンシャルがありますが、開始する際にこそ様々な点で注意が必要です。
ここでは、越境ECにゼロからトライする際に押さえておくべきポイントを3つご紹介します。
・輸出したい国で販売できるものかどうか、許可が必要なものなのかを確認する。
・海外で人気があり、ニーズがあるかどうかを確認する。
・決済・物流に関わるシミュレーションを行い、コストと納期を把握しておく。
まずは、販売したい商品を越境ECで展開するにあたって、許可が必要になるものなのかどうかを確認しておくことが第一歩目となります。
具体例を挙げると、越境ECで有力な販売先となるアメリカでは、自社で製造する食料・飲料・化粧品などを販売する場合、FDA認証というものが必要になります。
(商業施設で購入したもので、購入者本人によって発送される食品など、本認証が必要でないケースもあります。)
FDA(Food and Drug Administration)は日本における厚生労働省のような機関です。
このFDA認証を取得していない状態で製品を輸出してしまうと、悪質な場合では懲役を伴う刑罰が課せられることもありえます。
詳しくは割愛しますが、こちらを取得する手順としては、下記のようなフローが必要になります。
1.製造施設の登録
2.米国代理人の指定
3.商品ラベルの英語化
4.食品安全計画の策定
5.FDAへの事前通知
見ていただくとお分かりかと思いますが、これから越境ECを始める個人や中小企業では太刀打ちできないものだと言えるでしょう。
このケースであれば、食料品や化粧品などは簡単には越境ECでトライしにくい商品であると考えられます。
このように、まずは海外で販売できる、あるいは販売しやすい商品であるのかどうかの確認が非常に重要になるということです。
それらを明らかにした上で、どのようなニーズがあるのか、海外でよく売れているものなのかというリサーチを進めるべきだと思います。
また、決済方法はどんなものを選択するべきか、物流はどのようなサービスで手配するか、どのくらいコストと納期がかかるのかも、商品や販売先の国により千差万別になります。
実際に販売を開始してから、何かしらの不備があった場合は大きなトラブルにつながります。
最低限、この3点については完璧にクリアにしておくべきです。
越境ECの事例
最後に、当社サイトマでサイト売買成立となった越境EC案件の事例を2点ほど紹介します。
運営の参考になる部分も多いと思いますので、是非ともご一読ください。
①副業からスタートし、輸出販売開始後半年で月商140万円を突破したAmazonアカウント
売主様は脱サラをすることを目標に、独学でAmazonの販売事業を副業としてスタートされました。
その後、国内販売と並行してAmazonUSのアカウントで越境ECを開始。
わずか数ヶ月で「売上1,465,129円」「 営業利益315,020円」を記録されました。
AmazonUSの規約上、アカウントの譲渡はできませんが、AmazonUS運営ノウハウもサポートするという内容にて、4,900,000円で成約となっています。
詳細は下記リンクにて確認できます。
【6ヶ月サポート】輸出販売も学べる初心者向けAmazonアカウント
②海外で人気のゲーム機、カメラグッズなどハイブランド商品を販売するeBayアカウント
7年を超える長い運営歴を武器に、カメラグッズなど高額商品を販売するeBayアカウントです。
売主様の都合によりしばらくの間は積極的に運営されていませんでした。
しかし、商品仕入れ・販売を再開されてからすぐに「売上1,889,728円」「営業利益825,523円」を達成されました。
eBayはAmazonUSと異なり、そのままアカウントの譲渡が可能となります。
よって、買収された方は、一般の新規作成アカウントでは販売できないようなハイブランド商品を、即座に販売することができるという大きなメリットがありました。
豊富なノウハウを持つ売主様のサポートが元金回収するまでという長期間ついており、6,000,000円にて成約となっています。
【運営7年半超】元金回収するまでサポート可能なeBayアカウントの事業譲渡
まとめ
越境ECのメリットとデメリット、開始する上での注意点について解説しました。
越境ECは莫大な市場規模を持つ魅力的な事業ですが、海外の方が相手となることもあって、独特な商習慣を持つビジネスだと言えます。
その分、しっかりと軌道に乗せることができれば、大きな収益を手に入れられることに加え、高値での事業売却も十分に可能です。
反対に、すぐに完成された越境EC事業を開始したいという方には、事業買収をおすすめします。
当社でも定期的に越境EC案件の売却依頼はご相談いただくため、機会を見てチェックしていただければ幸いです。
案件一覧はこちらからご確認ください。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。