サイトM&Aにおいて重要な要素となるデューデリジェンスとは?
サイト買収を検討されている方は、一度は「デューデリジェンス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
WebサイトやAmazonなどのECモールアカウント売買を仲介する当社としても、とても大切にしている要素の一つです。
とはいえ、普段の生活や一般的なビジネスシーンにおいては聞きなれない単語だと思いますので、はっきりと理解していない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、デューデリジェンスとは一体どんなものなのか、どんな流れで行うのかについて解説します。
目次
デューデリジェンスとは?
デューデリジェンス(Due Diligence・DD)とは、言い換えると「買収対象となるビジネスや企業の経営状況や数値データを調査・確認すること」です。
dueは「適切な・正当な」、diligenceは「注意・配慮」と訳すことができるので、直訳すると「当然に実施するべき注意」となります。
M&Aや組織の再編などの業界において頻出するワードですが、投資家が投資を行う際や、金融機関が有価証券を引受する際に使われることもあります。
サイトM&Aに置き換えて平たく表現するのであれば、「買い手が、買収するサイトやアカウントに何か問題がないか調査すること」となるでしょうか。
当社が取り扱う売却案件は全て当社が審査・査定しており、買い手様・売り手様双方とコミュニケーションをこまめに取りながらサイトM&Aを進めています。
売上や収益などの数値情報は最も重要な部分となるため、一層徹底して確認しており、売却案件のPR文章も可能な限り実態に則した内容で作成しています。
それでもやはり買い手様が思い描いたイメージと、実際のビジネスが100%ぴったり一致するかどうかは、買い手様ご自身の目を通してみたいことにはわからない部分も多いでしょう。
そのため、当社のような仲介企業を通さずにサイトM&Aを行う際はもちろんのこと、どんな場合においてもデューデリジェンスは必要なものになります。
サイト買収が成功するかどうかを分ける非常に大きなポイントとなるので、注視しておくことに越したことはありません。
デューデリジェンスの種類
実際にデューデリジェンスを行う、といってもチェックのポイントは一つではなく、いくつかに分かれます。
業界や業種によってはさらに多くのポイントがあるケースもありますが、代表的なものは下記の4点です。
①ビジネスデューデリジェンス
②財務・税務デューデリジェンス
③法務デューデリジェンス
④人事デューデリジェンス
それぞれもう少し詳しく解説します。
①ビジネスデューデリジェンス
まず最も重要で基本的なデューデリジェンスが、ビジネスデューデリジェンスです。
こちらはその名の通り、買収する対象となる案件が、ビジネスとして成り立っているのかを評価・確認することです。
つまり、ビジネスが市場に対してどんな強み・弱みを持っており、どんなポジションにいるのか、また市場全体がどのようなトレンドなのかということまで含めて評価します。
そのため、「買収した後にどのような運営をしたいか」という買い手のイメージと照らし合わせて実行することが重要です。
買い手側のリソースやスキルといった要素も深く関わる部分であるので、冷静に客観的に見定めることが要求されます。
②財務・税務デューデリジェンス
財務・税務に関するデューデリジェンスも、サイトM&Aにおいて非常に大きなポイントとなります。
過去の売上や収益は正しく計上されており、しっかりとしたエビデンスがあるのかどうか、不正な処理がなされていないかの確認を行います。
具体的には、アナリティクスの閲覧権限を付与してもらい、売り手が作成したエクセル資料と照合するといった作業です。
ECサイトアカウントであれば、管理画面の収益データのスクリーンショット、通帳のコピーの確認などを行うこともあります。
こちらに関しましては下記のコラムにて詳細を記載しておりますので、併せてご確認ください。
【関連記事】デューデリジェンス(資産査定)でサイト購入を成功させよう
また、特に法人譲渡案件の場合、赤字企業を買収する際に繰越欠損金を引き継いで利用する際には、様々な条件が必要になります。
これらの制度を有効に活用するためには、直近の財務だけでなく税務面での確認も必須になりますので、徹底した情報収集を行いましょう。
③法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスは、買収対象となるビジネスがきちんと法令遵守された上で行われているかを確認することです。
サイトM&Aに関した例としては、コンテンツが他サイトからのコピペではないかといった確認と評価が、法務デューデリジェンスに該当します。
また、商品画像やアイキャッチなどが著作権・肖像権違反になるものではないかといったことなど、意外とサイトM&Aにおいて法務面での確認は重要です。
もし買収したサイトやアカウントが法令に違反した状態であり、買収後に明るみになった場合、収益や売上は大きく落ち込むことになります。
それだけでなく、最悪の場合訴訟に発展したり、サイトやアカウントそのものが運営できない状態になったりというリスクも考えられるかもしれません。
煩雑で面倒な作業になりますが、細かい部分まで確認しておきましょう。
④人事デューデリジェンス
従業員やその労務面においてのデューデリジェンスは、企業同士のM&Aや事業承継に限ったものではありません。
Webサイト運営やECモールアカウント運営において、外部のスタッフにコンテンツ作成を依頼したり、業務の一部を外注化したりといったことは頻繁になされていることです。
よって、買収後も同じ環境で稼働してもらえるかといった人事デューデリジェンスも、サイトM&Aで決して無視できない要素の一つです。
特に外部の人材と元の運営主とが長期間に渡って運営されていた場合、環境が変わることでモチベーションが下がるということも考えられます。
仕組み化された案件は魅力的ですが、きちんとその部分が引き継げるかの確認はとっておく必要があります。
デューデリジェンスの流れ
デューデリジェンスはM&Aを行う上において法律で定められたものではなく、あくまでも自主的に行うものです。
そのため、明確に「この時期にこの内容を実施する」という決まりはありません。
企業同士のM&Aであれば専任のチームを結成し、買収する企業の一室を借り切って数日間に渡って調査するというのが一般的なようです。
一方サイトM&Aにおいては双方が地理的に離れていることもよくありますし、確認するポイントがそこまで多岐に渡ることもないでしょう。
よって、何か気になったタイミングで都度売主側に確認するのもいいですし、あらかじめ日程と時間を定めて売主・買主共同で評価してしまうというやり方でもOKです。
ですが、財務面・人事面でのデータやビジネスの特徴など、買収対象となる案件の機密性の高い情報にアクセスすることになります。
正確な評価を行うためには、お互いオープンな環境でやり取りすることが望ましいので、サイトM&Aにおいては、秘密保持契約を締結した後からスタートさせるといいでしょう。
当社を仲介してサイトM&Aを行う際には、必ず当社を交えた三者面談の機会を設けていますので、その際に可能な限りの確認をしていただくのも効率的です。
デューデリジェンスの注意点
多額の資金を投入してでも買収したい案件が見つかった時、当然その案件に対して強い期待をしてしまうものです。
その案件の売り手に対してもある程度の信頼や親しみは感じていることでしょうし、その感情は決して悪いものではありません。
ですが、少しでも気になる点があるのであれば、必ずあらかじめクリアにしておくということが非常に重要です。
デューデリジェンスを進める際には、「早く運営したい」「そのビジネスをすぐに手に入れたい」というはやる気持ちを抑え、冷静で客観的な判断を持っておきましょう。
特に、「問題がありそうだけれども、これまでは習慣的に大丈夫だった」というポイントには注意が必要です。
楽観的な思い込みや遠慮してしまうことで問題が後回しになるのは、お互いにとって大きなマイナスとなります。
もし、「売り手側に切り出しにくい」、「不都合な点をついて印象を悪くしてしまうのではないか」と感じる場合は、当社のような仲介を頼っていただくといいと思います。
また、法務面では勝手な判断をせず、弁護士などプロの法律家の考えを聞くのも非常に有効です。
疑問点を解消して清々しい気持ちで新たなビジネスを運営するために、積極的に周りの専門家に頼ることを強くお勧めします。
まとめ:徹底したデューデリジェンスで疑問や不安を解消しましょう
サイトM&Aに関するポイントを中心に、デューデリジェンスについて解説してきました。
デューデリジェンスに限ったことではありませんが、初めてのサイト買収においては、いろんな点に疑問を抱えたり、不安に感じたりすると思います。
そんな時は自分で調べて解決しようとするのではなく、先方に真摯に確認してみることが確実ですし、スピード感を持ってM&Aを勧められます。
聞きにくいことや判断しきれないことがあれば、当社に気兼ねなくご相談してみてください。
あなたのサイト売買が成功する参考になりましたら幸いです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。