ITPとは?サイト運営者の必須知識をサイト売買のプロが解説
ITテクノロジーの発展により、あらゆるサービスを提供する企業が、個人情報を大量に収集できるようになりました。
それにより個人が利益を受けることも当然たくさんあります。
一方個人情報が望まない形で利用されることで、不利益を被るケースも現れ始めています。
世界各国で個人情報保護規制の強化が続いており、主要IT企業も続々とデータ収集制限の動きをとり始めています。
その中の大きなポイントの一つが本記事で解説するITPです。
アフィリエイトサイトに携わる方であれば「ITP対応の広告」というフレーズも目にしたことがあるでしょう。
個人サイト運営者においても無視できるものではなく、しっかりと知識として持っておくべき段階になっています。
ここでは、ITPとはどういった機能なのか、またサイト運営者にどんな影響があるのかについて解説します。
あなたのサイト運営の参考になりましたら幸いです。
ITPとは
まず初めに、ITPとは何なのかについて解説していきます。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)は、Appleが提供するブラウザ「Safari」に搭載されている機能の一つです。
Preventionは「予防」「防止」を表す英単語なので、直訳すると「インターネット上のトラッキングを防ぐ機能」となります。
言うまでもなく、この機能が搭載された目的は「ユーザーのプライバシーを保護する」ためです。
ご存知の通りSafariはMac、iPhone、iPadなどApple製端末の純正ブラウザに採用されています。
日本国内ではiPhoneのシェアが非常に高いため、スマホのメインブラウザとして利用している方も多いのではないでしょうか。
このITPについて重要な点は、プライバシー保護強化の情勢に合わせその制限条件や範囲が変化していっているということです。
そのため誠実にユーザーに向けたサイト運営を行う上で、しっかりと現在の状況を理解しておくべき必要があります。
この記事では2021年9月現在の最新情報を記載しますが、定期的なモニタリングを継続するべきでしょう。
下記にてもう少し詳しく見ていきます。
トラッキングとは
ITPはユーザーのプライバシーを保護するため、インターネット上のトラッキングを防ぐ機能であることは上で説明しました。
ここで、「そもそもトラッキングってよく聞くけど、どんなもの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
トラッキング(tracking)は直訳すると「追跡」となります。
Web関連でのトラッキングとは、「あるユーザーがサイト内のどのページにアクセスし、どんな行動をしたのかを分析すること」を指します。
これにより、「効果のある広告を打ち出せているか」、「何件コンバージョンしたか」という計測が可能になるということです。
アフィリエイトサイト・ECサイト運営者にとっては継続的な成長に関わるとても重要な要素の一つですね。
Cookieとは
ではなぜこのトラッキングを防ぐ必要があるのか、またどうやって防ぐのかについて疑問に思いますよね。
それには、Cookieと呼ばれる情報データの存在が深く関わっています。
Cookieとは、サイトを閲覧した際にユーザー側の端末に残る閲覧履歴情報のようなものをイメージするとわかりやすいです。
例えばAmazonにログインし、一定時間をおいて再度開いた際ログインが維持されているのはCookieが残っているからです。
また「パソコンを買おうかな」と思って調べた結果、その後数日間パソコンの広告表示が増えたという経験はないでしょうか?
あれもCookieデータが利用されているからこそ起こる現象です。
Amazonの例のような、サイトのサーバー(ドメイン)側から発行されるCookieをファーストパーティーCookieと呼びます。
対して、パソコンの例のような、広告媒体から発行されたCookieをサードパーティーCookieと呼びます。
このCookieですが、ポジティブに捉えれば便利で簡単に情報を入手でき、閲覧履歴も残せる非常に便利なものです。
一方で「少し調べただけなのに同じ広告ばかりでうんざり」「どこまでも追跡されている気がする」という不快感も感じますよね。
住んでいる場所に近いマンションの広告などが突然表示され、「どこから入手したの?」と不安になることもあるでしょう。
ITPの「トラッキングを防ぐ」という狙いは、この「Cookieに制限をかける」ことで対応しようとしているということです。
ITPの変遷
ITP、トラッキング、Cookieそれぞれが何を意味するのかはお分かりいただけたかと思います。
説明した通り、ITPは導入時から現在までその制限対象を変更してきています。
大まかな流れは下記の通りです。
・ITP1.0(2017年9月):サードパーティーCookieを30日間で削除。閲覧したのみであれば24時間で無効化。
・ITP1.1(2018年3月):訪問履歴があっても、サードパーティーCookieを24時間で削除。
・ITP2.0(2018年9月):一部のファーストパーティーCookieも規制の対象に。
・ITP2.1(2019年3月):ファーストパーティーCookie制限が本格化。7日間で削除されるように。
・ITP2.2(2019年5月):ファーストパーティーCookieの有効期間が1日間に短縮。
・ITP2.3(2019年9月):Cookieの代替になるローカルストレージ閲覧情報も7日間で削除されるように。
・ITP2.3機能追加(2020年3月):すべてのサードパーティーCookieを完全にブロック。
ご覧いただくとお分かりの通り、わずか3年ほどの短い間にすごい速度で規制が強まっていっています。
当然のことながら、広告主としては出来る限りトラッキングをしたいため、色々な抜け道を模索してきました。
それに対し、Appleが規制を強めて対応してきた、という歴史があります。
今後も新たな方策が現れ、より一層厳しい規制がかかるのかもしれません。
ITPが広告に与える影響
ここまで読んだ方は、「Web広告にとって致命的な影響になるのでは?」と思った方もいるでしょう。
お察しの通り、ITPが制限を強化することによるWeb広告への影響は決して小さくないありません。
上の例で挙げたような、特定の商品に対する購買意欲が高いユーザーに、再度広告を表示させることが難しい状況になっています。
また、従来のCookieにのみ依存した計測方法であれば正確なコンバージョン計測が不可能になるでしょう。
アフィリエイトサイト運営者にとっては絶対に無視できない流れだと思います。
ですが、各ASPもただ黙って見ているだけではありません。
新たな計測方法や独自の技術を編み出し、Safariを使用するユーザーでも正確に計測できるよう、工夫をしています。
気になる方は、「(利用されているASP) ITP対応」などでGoogle検索してみてください。
色々な情報を入手できると思います。
まとめ:サイト運営者にとってITPの動向は非常に重要。継続して確認を。
ITPやITPに関わる様々な用語について解説してきました。
トラッキングやCookieという機能が完全になくなってしまうことはおそらくないでしょう。
しかし、その取り扱いや機能、制限の対象についてはこれからも大きく変遷していくはずです。
サイトを運営する者にとって、突然大きな影響が現れる可能性も高いです。
これからも定期的に個人情報保護規制に関するニュースには敏感になっておくといいでしょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。